こんにちは。
前回は、書かなくていいことを書いてしまったのかもしれません。
あんな記事を書いたのは、管理人が村上春樹さんを「愛するがゆえ」の、音楽(特にエリントン)について書く村上春樹さんへの苦情のようなもの。
今回は、そのフォローを兼ねての「村上春樹 talks about エリントン」です。
ハルキさんは、比較的若い頃には無数のエッセイやら雑文やらを書いているし、小澤征爾さんとの素晴らしい対談があること、みなさんご存知ですか?
【前回記事】
(過去記事)
そもそも、エリントンと村上春樹さんについての記事を書こうと思ったのは、この本を読んだからなんです。
この本、おもしろいですよ。
クラシックは門外漢もいいところなのですが、そんなわたしにピッタリの本でした。逆に、コアなクラシックファンや現場で音を奏でている人にも、セイジ・オザワの頭の中を知る意味で興味深く読める本です。
わたしにとって、この本は『ボクの音楽武者修行』とともに、重要なクラシック音楽の教科書/ガイドブックなんです。
余談ですが、人生に迷っている若者から相談を受けた時、わたしはこの『ボクの音楽武者修行』と藤原正彦の『若き数学者のアメリカ』を贈ることにしています。
これから人生を始めようとする若人、新しい世界に飛び込んでいく勇気を持てない人。
この2冊は、そんな人に力を与えてくれる本です。
読み物としても楽しいですよ。
写真を見ると若き小澤征爾さんはオザケンにそっくりだし、文章からうかがえる生意気さもそっくり。まあ、これは「若さゆえ」の生意気さなわけですが、それも90年代のオザケンにそっくり。
もう一冊は「品格」云々を喋りだす前の藤原正彦。
『国家の品格』で読者は増えたと思いますが、それまでの読者で読まなくなった人も多いのでは。わたしもその中のひとりです。
脱線ついでに、もう少しだけ音楽と文芸について書いておきましょう。
あるとき、友人の音楽家から聞いた話です。
・・・日本で音楽家がいっぱしの「文化人」として認められるためには、海外で評価されるか、文章が書けなければダメなんだよ。悲しいことに、それが日本の音楽文化の限界。逆に言うと、ちゃんとした文章が書けるミュージシャンは比較的容易に文化人として受容される傾向にある。山下洋輔を考えてみなよ。あんなアヴァンギャルドな音楽だけど、ヨーロッパで評価されて、あんなにたくさん本を書いてるから立派なジャズ文化人だ。
その後継者が菊地成孔。あの人は音楽がおもしろいのはもちろんだけど、文章が書けるというのは大きな武器だよな。あれだけ文章が書ければ、そりゃ東大、慶応で講義してもおかしくないよ・・・
…と、友人の音楽家が語っていました。音楽は音楽だけで評価してほしいけどね、と続けて、その友人は苦笑していました(菊地成孔さんは音楽も素晴らしいですよ! 管理人がどれだけ菊地さんを評価しているかは、これまでの記事を読んでもらえればわかってもらえると思います)。
言われてみれば、腑に落ちるところは多々あります。
これらの方々は文化人としてひっぱりだこですが、共通しているのは皆さん「筆が立つ」こと。音楽の方向性もバラバラですし、特に中原昌也さんとか大友良英さんの音楽はあんなに前衛的なのに、なんであんなにメディアに重宝されるのだろう? と思っていましたが、そういうことなんですね(大友さんはなんといっても『あまちゃん』の成功が大きいのかもしれませんが)。
逆に、文化人としてブレイク寸前であと一歩のところでとどまっているのが亀田誠治さん。NHKの亀田音楽学校はとても啓蒙的で、フレンドリーな人柄も後押しして、1ファンとしては「ここで一気にブレイクするか……!」と期待していたのですが、お茶の間で一気にブレイクとまではいきませんでした。その原因は、亀田師匠があまり本を書いていないからかも。プロデューサーという立場からの「ヒットの理由」について書いた本しかないんですよ。
これは新版。わたしは旧版をもってますが、師匠には、もっと、もっと書いてほしいなあ。
著作に反して、「BASS MAGAZINE」で特集を組まれる回数は異常に多かったりします。
コステロのアレを真似てるのでしょうか。
師匠は頭が大きいので、このアングルはあまりカッコよくないと思います。
この表紙の主役はベース。おなじみの フェンダーの66年製 です。
でも、特集はプレイヤーとしてよりもプロデ―サーとしての仕事に光を当てたものなのですが。
イメージにピッタリの表紙。
あと、一気にジャケットの袖が長くなりました。その長さだとベースを弾くときに邪魔になるのでは、と余計な心配をしてしまいます。
ちょっとイキってます。 袖が長いのは変わらず。
ベースは愛器のフェンダーではなく、ヤマハの BB-2024SK(SK = 「セイジ・カメダ」モデル)です。
世のベーシストの大きな希望の光である2人。
派手さが無い楽器でも、ビジュアルが目立ってなくても、実力があればわかる人にはわかります。
ともに男性ファンが多いのがそれを裏付けてます。わたしもその一人ですよ。
そしてそう考えると、日野皓正、渡辺貞夫、穐吉敏子(敬称略)といった面々にあまり文化人という印象が無いのは、それぞれに著作が無いせいなのかもしれない、とも思いました。みなさん、半自叙伝的なエッセイはあるんですけどね。
名著です。
この本については本館で触れてます。
あ、サダオさんの『ジャズ・スタディ』は、そりゃ名著ですよ。
管理人の家にも置いてあります。
この本が日本のジャズ界に与えた影響は計り知れない。
でも、これは文章力、文芸というよりも技術書ですよね、言うならば。
閑話休題。
で、冒頭の小沢・村上対談に戻りたいのですが、いい加減長くなりました。
続きは次回に。