Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

『ジャズ詩大全(1)』 前回の補足です。

前回、「Don't Get Around Much Anymore」について、『ジャズ詩大全(1)』を参考にして歌詞の面から書きました。

 

 

今回はその補足。

 

「Don't Get Around Much Anymore」(Never No Lament)は、作曲はもちろんエリントンですが、これに歌詞をつけたのがボブ・ラッセル(Bob Russell)。

で、『ジャズ詩大全(1)』で知りましたが、ボブ・ラッセルは詞を書くだけでなく、曲も書きます。その一つの例がビリー・ホリデイで有名な「Crazy she calls me」。曲をボブ・ラッセルが書き、詞はカール・スィグマン(Carl Sigman)。

 

……と、簡単に書きましたが、実はこれはなかなか複雑な問題をはらんでいます。というのも、古いデータになると、この作曲者と作詞者が入れ替わっているものも複数あるからです。作者の村尾氏によると、結局、どっちがどっちかわからなかった、とのこと。

また、現在はこの曲は「Crazy she calls me」よりも「Crazy he calls me」とする方が多数なようで。もっとも、これはビリー・ホリデイが「she」を「he」と置き換え始めてから定着したみたいなのです。ややこしいなあ。まあ、歌い手の性別(というか心境)で使い分ければいいんじゃないでしょうか。

 

ジャズ詩大全1 (楽譜なし)

ジャズ詩大全1 (楽譜なし)

 

 

で、このカール・スィグマンはエリントンの曲にも詩をつけてます。

それが「All too soon」。

管理人が特に愛するエリントン・ナンバーです。

特に『Piano Reflections』のトリオの演奏が大好き。

いつ聴いても、この進行とハーモニーにうっとりとしちゃうんですよ。

 

Piano Reflections

Piano Reflections

  • アーティスト:Ellington, Duke
  • 発売日: 1989/09/20
  • メディア: CD
 

 

さて、このカール・スィグマンは、タッド・ダメロンの「If you could see me」とかにも歌詞をつけてます。

 

「Crazy she calls me」は、ビリー・ホリデイ以外だったらナット・キング・コールリンダ・ロンシュタットとかカバーしてます。

  

Crazy She Calls Me

Crazy She Calls Me

  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

Crazy He Calls Me

Crazy He Calls Me

  • 発売日: 2009/04/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 以上、『ジャズ詩大全(1)』における、エリントン・ナンバー周辺の話でした。