Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

『ジャズ詩大全』、面白いですよ。

ご無沙汰しております。

気づいてみると、最後に投稿した記事は6月のSpotify の MASADA の記事ですか。

 

 

……3ヶ月も前!? いや、だらだらしてたわけじゃないんですけど、この間は公私ともにバタバタしておりまして。。。 しかし、もちろんエリントン研究を怠っていたわけではありません。むしろ、新たな鉱脈を見つけまして、それをどう記していくか迷っていた時期だったのです。

結論を先に言ってしまうと、『ジャズ詩大全』シリーズを読み直したんです。

で、これがおもしろかった。

高校生の頃に読んだのとはまったく違う感想/印象を抱きました。

 

ジャズ詩大全1 (楽譜なし)

ジャズ詩大全1 (楽譜なし)

 

 

今日は、その導入的な話を軽くしましょうか。

 

それにしても、Spotifyは素晴らしい。

MASADAにも驚きましたが、オザケンの「ある光」が普通に聴けてしまうのに驚愕。

あと、例えば菅野よう子さんや目黒将司さん、オーイシマサヨシさん、『けいおん!』音源が気軽にアクセスできるのも嬉しい。レア音源が聞けるだけでなく、こういうジャンルを横断するミュージシャンを検索やプレイリストでまとめて聴けるのは本当に素晴らしいんです……って、この話はきりがないので止めておきましょう。

それに、Spotify も万能ではありません。

明らかにリアル音源と異なる音源が入っていたり、権利問題?のため、新作や代表作などが登録されていなかったりします。

 

 

例えば、エリントンのパリコンの「Perdido」。

これはわたしが書きました。 

 

閑話休題

『ジャズ詩大全』の話に戻りましょう。

正直に言うと、この本、あまり好きじゃなかったんですよ。

初めてこの本を手にとったのは確か中学生の頃*1

ジャズに興味を持ち始めたときに図書館で出会ったときでした。

ジャズに関する知識が乏しく、英語も習い始めたばかりの田舎の少年にはこの本はレベルが高く、途中で挫折してしまいました。それに、詩、リリックの話ばかりで、肝心の音楽についてはほとんど書かれていないことにも不満でした。

「音楽の真実は、すべて録音された音源にあり、それ以外は付属的な情報でしかない」という幼稚な思想に取り憑かれていた当時のわたしには、この本は邪道に写ったんですね。このシリーズ、長いこと遠ざけていました。

 

しかし、個々のエリントン・ナンバーについての情報源としてこの本のことを思い出して手にとったところ、その豊穣な情報量にびっくりしました。30年前に抱いた感想と正反対! この邪道というか付属的な知識は、音楽を聴く際にプラスとなる知識ばかり。これは勉強になりますよ。

 

こうして評価が正反対に代わったわたしですが、それでも、この本への不満はあります。

 

まず、本の値段が高い!

1冊 3,300 円。

研究書としては普通ですが、一般の読み物としてはちょっと高いなあ……。

古本の値段はやや下がりますが、それでもまだ高い。この価格設定だと、諸々の研究書と同様、研究者が科研費などを利用して買う本で、一般人は図書館で借りて読む本、になってしまいますよ。

 

次に、誤訳の指摘が多くてゲンナリ

いや、一時期、流行ったんですよ、誤訳のあげつらい本。

現役翻訳者による、先行翻訳本の間違いの指摘本は、日本人の英語コンプレックスと文法偏重の受験英語学習者のプライドを刺激して、なかなか売れたと聞きます。

で、このシリーズもこの呪縛から逃れてないような気がするのです。先人の間違いを指摘し、正しいと思われる主張するのは当然すべきですが、そこで先人の誤りを繰り返し強調するのは……読者として、少ししんどいです。

 

この2点が解消すれば、このシリーズはもっと売れたのになあ、と思います。

特に、子育てが一段落して、ジャズ・ヴォーカルでもやってみようかしら、なんて有閑マダムに需要があるのでは、なんて。

このクリスマス編なんてプレゼントにもいいですよね。

 

 

で、肝心のエリントン・ナンバーなんですが、これは次回に。

*1:1巻の初版は1990年なので、記憶は間違ってませんでした