世の中には2種類の音楽しかない。いい音楽と、そうでない音楽とだ。
さまざまな場面で引かれる、あまりにも有名なエリントンのこの言葉。
今日はその出典を示しておきましょう。
世の中には2種類の音楽しかない。いい音楽と、そうでない音楽とだ。
(There are simply two kinds of music, good music and others.)
出典は62年の『Music Journal』誌への寄稿です。
はっきりしないながらも、担当はポピュラー音楽史の研究者、Sigmund Spaethだろう、とのこと。「and others」という表現に、エリントンの英国紳士的な美的感覚、奥ゆかしさを感じます。
ときは1962年。
コルトレーン、オーネット・コールマンにミンガス、ドルフィー、セシル・テイラー。
世界の状況に呼応するかのような激しいジャズに対して、エリントンの意見が求められた原稿依頼でしょう。
ジェントルマン的にクールに振る舞いながらも、自分の立ち位置ははっきりと述べたのがこの文章。前衛的なジャズであろうと、そして電化音楽のロックであろうと、音楽には「いい音楽とそうでない音楽」しかない。それがエリントンの答えです。
「beyond category」から一貫する思想ですね。
エリントンのこの文章、原文で読みたい方はこちらです。

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インタビューと寄稿で構成されているこの本は、本文500ページ、101記事に及びます。ひとつひとつの記事は短くて読みやすく、時代背景に即して語られる内容が実に含蓄が深く、興味深いのです。
朝礼や結婚式のスピーチにも使えるこの本、一家に一冊いかがですか?
……というのは冗談ですが、管理人は、「ジャズの父」というアイコンとして独り歩きしがちなエリントンを、歴史上、なるべく追跡可能な人物として記録しておきたいと考えています。
この『Duke Ellington Reader』、一般紙などのメディアでのインタビュー・寄稿が主であるため、自伝の『Music Is My Mistress』よりも広く知られたエピソードや、エリントンの本心が現れています。絶版になって高騰する前にどうぞ。

Music Is My Mistress (Da Capo Paperback)
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