Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

コロンビアのエリントン黄金時代 1927-1940、Vol.2。

今回も野口久光氏の紹介記事の紹介で、1927-1940の続き。

 

 

ただ、今回紹介するLPはCDでも再発されてないみたいなんですよね。わたしの好みとしては、Volume One よりもVolume Two の方が好きなのですが。

 

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 エリントンの黄金時代
 デューク・エリントン楽団 (Clumbia 三枚組カートン・ボックス入り)
 さきに出た第1集に続くデューク・エリントン楽団の歴史的な名演奏で、第1集と同じく1927年から1940年までのコロムビア系原盤から逃び出した44曲が三枚のLPに収められている。第1集に「Black and Tan Fantasy」ほか有名なエリントン・ナンバーがほとんど網羅されていたので、第2集は残り物を柴めたように思うのはとんでもないことで、今回のアルバムにも「Creole Love Call」「Misty Morning」はじめ有名曲も入っているし、SP時代に日本に紹介されなかった曲のなかにもかくれたる名曲名演が少なくない。こうして十三年間の演奏を改めてまとめてきいてみると、エリントンとても移り変わるジャズ界の動きに影響されて編成が拡大、或いは多少のメンバー異動、スタイルの変化などがはっきり見てとれるとともに、エリントンがいつの峙代にも新しい試みや冒険を行ない、ビッグ・バンド・ジャズの類型化を救い、前進してきたことに驚きを感じる。そして作曲家、アレンジヤーとして新しい境地を拓いてきたことにも驚かされるのである。第一枚目は、前述の有名曲以外は誰もが知っているという曲ばかりではないが、27年から32年までのジャングルースタイルを標榜したヴァイタルな演奏がすばらしく、若かったクーテイ、ホッジス、ビガードら・の好プレイがふんだんにきけてたのしい。第二枚目は言二年から二七年にかけての吹込みで、最初のコンサート・ワーク「Reminiscin' In Tempo」(SP四面、十二分余の大作)をはじめ「Shouboat Shuffle」(イクスポジション・スウィング)といったかくれた名演やノン・エリントン・ナンバーの傑作「In The Shade Of The Old Apple Tree」などがならんでいる。第三枚目は37年から39年までの十六曲で、グッドマンがスウィング上の名をほしいままにした時代のもの、一曲一曲にアイディアかおり、スウィング・バンドとしてもアンサンブルも充実、ソロイストも充分活躍させた力演名作が少なくない。クーティとレックス・スチュアートのバトルを山場とした「Tootin' Through The Roof」をはじめ、「Pussy Willow」「Dusk on The Desert」など名演が多い。また全体のなかでデューク・バンド専属として活躍しながら実力が必ずしもよく知られていない歌手アイヴィー・アンダーソンのヴォーカル(「I'm Satisfied」ほか)が数曲にきけるのも収穫。後期の彼女が若い頃のエラに似ているのは彼女の方が影響を受けていたとみられるが、スウィング時代の代表的な歌手としての実力がこのアルバムからも知ることができると思う。詳しく曲目について触れている紙数はないが、今日もエリントニアンとして健在なホッジス、クーティ、カーネイ、ローレンス・ブラウンをはじめ、バーニー・ビガード(cl)の名演も随所にきける。コレクターには涙の出るほどうれしいアルバムだが、新しいプレイヤーや傾向ばかりを追うことなく、こうしたレコードによってジャズの歴史的な流れ、エリントンの偉大さを改めて理解する上にもひろくきいて頂きたいアルバムである。
                 (『レコード藝術』66年8月)

 

まず、「Misty Morning」を有名曲としているところに時代を感じます。で、「コレクターには涙の出るほどうれしいアルバムだが、新しいプレイヤーや傾向ばかりを追うことなく、こうしたレコードによってジャズの歴史的な流れ、エリントンの偉大さを改めて理解する上にもひろくきいて頂きたいアルバムである。」というまとめには、教条的な匂いを感じてゲンナリです。

ごめんなさい、今日はこれだけで失礼します。

 

The Ellington Era 1927-1940: Volume One, Part One

The Ellington Era 1927-1940: Volume One, Part One