Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

ARAKI Shin presents 「drolo」。

前回の続きで、今回も管楽器のエフェクターについて。

  

 

結論を先に述べると、今回は、

日本人初の北欧エフェクターメーカーである Droloの公式アーティスト、ARAKI Shin の紹介です。

 

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前回は金管楽器エフェクターについて書きました。

今回はサックスのエフェクトについて。

前回同様、動画の紹介から始めましょうか。

前の記事の最後に言及した「これまでの考えが覆されるような音楽」って、

これのことです。

 

 

 

どうですか?

ちょっと聞いたことのない音楽でしょ?

一瞬、何が起こってるかわからなくなりますが、動画をよくみてもらえるとわかります。

 

つまり、サックスの生音をマイクで拾ってその音をループさせ、これを素材としてエフェクトをかける。以後はテナーを吹かず、エフェクターを楽器としてマニピュレートして、ひとつの音楽を創り上げているんですね。

生音を加工する、といっても、その生音は自分で吹いたワンフレーズ「だけ」です。

 

これ、おもしろいなあ。というか変態です、はっきりいって。

 

いや、もちろん、音響系・アンビエント音楽のミュージシャンは、こういうの半ば常識でやってるってのはわかってます。でも、管楽器、サックスでここまで徹底してるってのは、わたしは寡聞にして知りません。

だって、管楽器のミュージシャン、特にサックスの人って、「吹きたがり」じゃないですか。

 ワンフレーズだけ吹いて、あとはそれをリアルタイムでシコシコ加工してライブするなんて発想、管楽器奏者にはフツーはありませんよ。傾向的に、こういうこと考えるのは鍵盤弾きやギター弾きに多い。なにしろ、彼ら/彼女らは、ちょっと頑張れば自分ひとりで音楽を完結できるから。

 

 

え? サックスにエフェクトかけるんなら、ブレッカーがいるじゃないか、

マイケルはEWIでソロプレイもやってるじゃないかって?

 

そう言うと思った。

確かにマイケルのエフェクターの使い方は素晴らしい。

それは認めます。わたしも学生の頃は夢中になりました。EWIを買おうかと思ったくらい。

でも、誤解を恐れずに言っちゃうと、それは「Sax with Effector」の入り口を開いた、というレベルの素晴らしさなんです。

具体的にいうと、マイケルのエフェクターの使い方は、

まず、生音の加工という次元では「ひずみ」と「ワウ」、

それと、ソロ演奏での、サックスをEWIに持ち替えての、ルーパーの奇跡的な活用。

これらのマイケルの演奏は、今でも多くの人々にインスピレーションを与えています。いま、大道芸人的にルーパーを使う人々は、多かれ少なかれマイケルの影響を受けてるはずです、多分。

 

でも、繰り返しますが、

管楽器奏者で、エフェクターをこんなふうに使う人は知らないんです。

この演奏、エフェクター操作の過程で偶然に生まれるビート、フレーズがとてもスリリングだ! この動画でも、一瞬、3連フレーズや、ノイジーな5拍パターンととれるパターンが発生するところに興奮してしまいます。

 

このSax吹きは ARAKI Shin 氏で、彼がメインに使っているのが Drolo というエフェクター。この使い方が評価されて、ARAKI 氏は、Drolo 社の日本人初の公式アーティストとなりました。 すごい!

 

 

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ひとつお願いできるなら、エフェクターの操作で生まれたフレーズを、もっと活かしてほしい。エフェクターの操作上で発生した変拍子フレーズをベースに、即興でアドリブとかしてほしい! ……って、それって大道芸になっちゃうのかなあ。

 

さて、ARAKI氏が公開されている動画、他のいくつかも引いておきましょう。

 

 特にこの動画とか、ギミックの多さに、男子はこれだけで萌えてしまうはずだ。

 

 

 

そして、冒頭の動画の長尺バージョン。 

  

 

 

この長尺では、ピッチシフトを使って、また興味深い試みをしてる。

 

でも、このエフェクターの使い方、斬新なのはわかるけど、この「drolo」というエフェクター自体は他のエフェクターと比べてどう変わってるのか、よくわからない…。

実は、これらの動画について、ARAKI氏 に話を聞く機会がありました。

次回はその話です。