今と変わらず、昔も希少音源への欲望は強かったようで…。音楽ファンがメディアの変遷に翻弄されるのはいつの時代も同じこと。
ザ・ベスト・オブ・デューク・エリントン (RCA)
日本ビクターが創立35周年を記念してシリーズとして発売する「ビクター・ジャズの巨匠達」の第一集として発売される二枚組LPで、アメリカで最近『The Indispensable Duke Ellington』の題名で発売された。デュークが最強のメンバーを擁していた1940年から46年までの吹込み原盤から、未発売原盤(4曲)を含む24曲を厳選収録したものである。このいわばエリントン最盛期の吹込み曲は一部SP時代に日本にも紹介されているがアメリカでも長年LPフォームで入手できなかっただけにこの発売は待望のものといえる。さきに日本で出た『In A Mellowtone』や未発売の『At His Best』と合わせるとほとんど完璧なコレクションとなろう。まず1940年当時のエリントン楽団は、現在の共同アレンジャー・ピアニスト、ビリー・ストレイホーン、テナーの名手ベン・ウェブスター、モダン・ベースの開祖といわれた若き才ジミー・ブラントンらの相次いでの加入によって面目を一新したところであり、劈頭の「モーニング・グローリー」「もう近寄らないで」(Don't Get Around Much Anymore)、「ボジャングルス」あたりの均整のとれたバンド・アンサンブルと、ジョニー・ホッジス(as)、レックス・スチュアート(cor)、ペン・ウェブスターのソロなどは今日なお鑑賞に価いしよう。次のデュークとベースのブラントンのデュエットによる「ピター・パンサー」「ミスター・J・B・ブルース」はブラントンの貴重なレコーディングであるし、41年の吹込み、ストレイホーンの傑作「チェルシー橋」の見事なオーケストレーションも注目しなければならない。以下AFMのレコーディング停止期間二年を縦た1945年の力作「香水組曲」はジャズ組曲としてデュークの代衣作といえるもの、アル・ヒブラーのヴォーカル、キャット・アンダーソン(tp)の起用、ピアニストとしてのデュークの好演が印象に残る。最後の6曲は1945、46年の作で、デュークと息子のマーサーの合作「いつものようでなく」(管理人注:「Things Ain't What They Used To Be」のことか?)や「ロッカバイ・リヴァー」「サドンリー・イット・ジャンプド」などスウィング後期のエリントンの代表作である。曲目全部には触れられないが、バンド・リーダー、ピアニスト、作編曲家エリントンを再認識する上にも欠かすことのできない歴史的名演集として特筆していいLPである。(『レコード藝術』62年9月号)
エリントンを同時代に聴いた、とされる人でさえこの状態。
LPが一般的になるのが50年代初頭だから、40年代の黄金時代のLP化は、さらに10年待たなければならなかったことになる。当時はまだまだSPも現役で聴かれていたのかもしれないけど、不便だっただろうなあ。
CDだとこれになる。
40-46年というエリントンの輝かしい時代を手っ取り早く聴くならこれでいいかもしれないけど、どうせなら40-42と44-46は分けて聴きたいなあ。
というわけで、わけて聴くなら、グッと量が多くなるけど、これとこれ。
- アーティスト: デューク・エリントン,デューク・エリントン・オーケストラ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2003/11/26
- メディア: CD
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あと、「Things Ain't What They Used To Be」が 「いつものようでなく」ってすごい意訳。
【引用元】