ふと南博さんのエッセイが読みたくなったので、この3冊を再読。
「3部作」とは、わたしが勝手に命名したもの。書かれている内容が直結した時系列なのでそう呼んでいます。今回も楽しく読みました。
『白鍵と黒鍵の間に』は、相変わらずの一気に読めてしまうおもしろさ。
バークリー時代の『鍵盤上のU.S.A.』は、黒人の学生にテープレコーダーを盗まれそうになる話が好きです。南さんの「僕はなんだか哀しくて哀しくてしかたがなくなっていた。」という一文がグッときます。幾重にも重なった感情がうかがえるのです。
バークリーから帰ってきてからの『マイ・フーリッシュ・ハート』は、うつ病をわずらってテナーのC君とバーの仕事をするあたりの話(「エレジー」あたり)が大好きです。「大好き」という表現は適切でないかもしれませんが、たまに無性に読みたくなります。わたしは鬱病をわずらったことはありませんが、周期的にひどく落ち込むことがあり、そういうときの何もしたくない気持ち、心理状態、身体の感覚などに少し共感してしまうからです。
ところで、この『鍵盤上のU.S.A.』、現在絶版状態で絶賛価格高騰中。
これ、文庫にならないかなあ。文庫になったら即買いします。
あ、この3冊は特にエリントンに関する話は無し。
南さんは菊地さんとストレイホーンのChealsea Bridgeとかカバーしてるから、何か記述があるかと期待したのですが。。。