Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

安原顕、再び。『上野桜木ジャズ日記』

やあ、マスター。また来ちゃったよ。

この前は愚痴ばっかりで耳を汚しちゃってごめんね。

間違ったことは言ってないと思うけど、やっぱり悪口とか愚痴って、聞かされる方は楽しいものじゃないからね。

 

 

 今日はその後の報告、みたいな感じかな。

寺島靖国氏と安原顕氏のジャズに関するものはもう読まなくていいか、なんて言ったけど、処分する関係でこの本にざっと目を通しちゃったんだ。

上野桜木ジャズ日記

上野桜木ジャズ日記

 

どうせエリントンに関することは書かれてないだろう、と思ってたんだけど、そうでもなくてさ、そのことについて少しだけ話しておこうと思って。 

 

まず驚いたのは、「99年のベストジャズCD」に渋谷毅の『エッセンシャル・エリントン』が挙げられてたこと。

 

エッセンシャル・エリントン(HQCD仕様)

エッセンシャル・エリントン(HQCD仕様)

 

 

といっても、そのコメントはこんな感じで、触れただけ、だったよ。

 

エリントンの生誕百年とかで、九九年はさまざまなCDが出た。これもその内の一枚、ソロ・ピアノによるしっとりとしたバラード集。チューバを配したカルテット演奏も面白い。

 

他には、ドルフィーの『ストックホルム・セッション』にはジミー・ウッドが参加してる、とかあったけど、これはライナー・ノーツを引いただけじゃないかな。

 

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総じて感じたのは、これって一昔前の業界の情報源みちゃいなものとして読まれていたのかな、ということ。たとえば、中山康樹氏の『スイングジャーナル青春録』が、タイトルに「スイングジャーナル」の名前を使ったとかで、SJ社に訴えられた、とか。。 

 

スイングジャーナル青春録 大阪編

スイングジャーナル青春録 大阪編

 

 

なんかギョーカイの内輪話っぽいのが多いんだよね。ネット環境がまだ充実してなかった時代、人々はたくさんある雑誌のこういう日記コラムを見て内部事情を探ったりしてたんだろうなあ、なんて思っちゃった。

 

意外だったのは、はっきりとエリントンに言及してる記事があったこと。ル内容は、イ・アームストロングとの共演盤の再発盤について。

  

コンプリート・セッション

コンプリート・セッション

 

 

サッチモ&エリントン コンプリート・セッションズ

 さて、ころっと話題を変えよう。『ルイ・アームストロングデューク・エリントン・コンプリート・セッションズ』(二枚組、東芝EMI)が素晴らしい! デュークは1899年4月29日生まれゆえ(中原中也も4月29日、そしてこの「わし」もそうじゃ)、昨年が生誕100年。今年は1900年7月4日生まれ(近年は1901年8月4日生まれがバイオの主流らしい)のサッチモが生誕100年を迎える。このCDもそれを記念してのものだろう。メンバーはルイ・アームストロングtp&vo)、デューク・エリントン(p)、トラミー・ヤング(tb)、バーニー・ビガード(cl)、モート・ハーバート(b)、ダニー・バルセロナ(ds)の六重奏団、録音は一九六一年四月三日、四日である。冒頭の「デュークス・プレイス」(Cジャム・ブルース)を聴いて、まず「音質」の良さに仰天した。このサンプル盤を贈られた日、ちょうど寺島靖国さんのゲスト、ミュージックバード「PCMジャズ喫茶」の収録があり多分寺島さんも好きだろうと、いそいそと待ち込んだが、な、なんと寺島さん、サッチモの「だみ声」、受け付けぬ体質とかで無視された。寺島さんは無類の善人だが、「食わず嫌い」があり過ぎで、「音楽生活」をずいぶん狭め、損をしているのではないか。しかしその彼も、「ブエナビスタ・ソシアル・クラプ」には興味を示し、「コンサート、行きたかった!」と言うので、持っていたルーベンス・ゴンザレス『イントロデューシング……』(ノンサッチ)、彼のオリジナル「メロディア・デル・リオ」(ボレロ)、もう一枚、『オマラ・ポルトゥオンド』(同)の「シェンプレ・エン・ミ・コラソン」をかけると、「良い良い」とヨガった。・・・(中略)・・・

・・・もう一度、『サッチモ&エリントン』の話に戻すと、二枚目のCDは未発表のスタジオ風景だが、これまた貴重な記録で大いに楽しんだ。エリントンにしろサッチモにしろ、こんなウルトラ・ド天才、もう二度と出ない。

(『FM fan』2000年9月12日)

 

「まず、『音質』の良さに仰天した」とあるけど、最後まで読んでも、音質がよかったことしかわからない。。。すごいなあ、ディスク・レビューってこれでO.K.なんだ。寺島靖国氏については特に言うことなし。「食わず嫌い」って、評論家がそれでいいの?

 

エリントンが中原中也と誕生日が同じ。それは知らなかった。そして安原顕氏とも同じ。それは知りたくなかった。最近は、生きてる間に、あとどれだけの本が読めるだろうか、なんて柄にもなく考えてるんだよね。退屈な本を読んで時間を無駄にすると本当に腹が立つ。

え?「腹が立ったら自分にあたれ、悔しかったら自分を磨け」って? いいこと言うじゃない、マスター。ぼくも普段はそうしてるつもりだよ。でも、それでも黙ってられない時があって、そういうときはここに来るんだよ。やっぱり、この本も読む必要なかったかなあ。

 

また来るよ、マスター。 次来るときこそ、もう少し楽しい話をもってくるから。

 

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