Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

「ピアニスト、エリントンの全貌をみせる待望の逸品」(『Money Jungle』野口久光氏紹介文)

「エリントンの」というよりも、ピアノトリオの歴史的名盤、『Money Jungle』。

録音、62年9月17日。

同時代人として、野口久光氏はどう聴いたか。

 

Money Jungle

Money Jungle

 

 

マネー・ジャングル
 デュークーエリントン、チャールズーミンガス、マックスーローチ

 

 老匠エリントンの最近の活躍は全くもってすばらしいが、このLPは顔ぶれを見ただけで私は輸入盤にとびついてしまった。針をおろして二度びっくり、四十年になんなんとする数多いエリントンのレコーディングの中でもひときわ目立つ大快作ではなかろうか。デューク・エリントンにモダン・ジャズ界の大物チャールズ・ミンガス(b)、マックス・ローチ(ds)という世代の違う二人をカミ合わせた企画も思いがけないが、ここにはクラシックもモダンもない三人の偉大なジャズメン、音楽家の創り出すユニークな音楽が燦然とくりひろげられ、その絶妙な音の世界に引き入れられてしまう。エリントンというとバンドも古いし、ピアニストとしてはあまり頂けないなどというとんでもない説をなす人も少なくなかったが、そういうのは全くジャズ・ファンの風上におけない手合いである。題名の「マネー・ジャングル」はじめ、「アフリカの花」「ヴェリー・スペシャル」「ウィッグ・ワイズ」の新曲、「ウォーム・ヴァレー」「キャラヴァン」「ソリテュード」と全曲がエリントンの曲であるが、ピアニスト、エリントンの瑞々しさ、若々しさはまさに驚嘆に価いしよう。エリントンのピアノに対して挑戦的なプレイを試みるミンガス、ローチがまたジャズのみのもつ魅力を随所に発散させている。これは今年のジャズLP中の傑作のひとつであることは疑いない。さきの『エリントン+コルトレーンに続く『エリントン+ホーキンス』(後述)とともに、この三枚のLPが1962年夏、数週問の間に吹き込まれたというのもまた驚くべきことである。
 ピアニスト、エリントンの全貌をみせる待望の逸品といえよう。
                 (『レコード藝術』63年8月号)

 

 「全くジャズ・ファンの風上におけない手合い」というフレーズがすごい。

これ、今度使おう。(©野口久光)みたいな感じで。

肝心の音楽については、「とにかくすごい」ということくらいしか伝わってこないが、それくらいこの作品のインパクトが大きかったということだ、多分。

 

さて、この作品については本館サイトでも、このブログでも何度も言及してきた。

 

例えば、この『Money Jungle』は、エリントンを神のように崇めてきたミンガスにとって、その音楽的キャリアの頂点のような作品である。

 

また、ショーターも参加しており、ジャズ色濃厚になったことで話題になった、ノラ・ジョーンズの最近の作品『Day Breaks』では、「fleurette africaine」がカバーされている。

 

 

そして、この作品は、実はローチの根回しによって仕組まれた作品でもある……

 

と、これはあくまで妄想。

 

・・・こうして並べてみると、音楽の内容について書いてないのは管理人も野口久光氏と同じだ。音楽的内容については、宿題ということで。

 

【引用元】

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野口久光ベストジャズ(1)

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