62年夏の3部作の嚆矢。
続く2枚があまりに有名すぎてあまり話題に上らないが、これも悪くない1枚。
録音は62年8月18日。
コンボとオケの中間、ラージ・コンボといった規模の編成。
野口氏の紹介文をみてみよう。
デューク=ホーキンス/二大巨匠の初顔合わせ
デュークーエリントン、コールマンーホーキンス(impulse)
デューク・エリントンとコールマン・ホーキンスというジャズ界切っての横綱格の巨匠がこれまでレコードの上で顔を合わせていないのは意外だが、遂にその夢がインパルス盤で実現した。エリントン楽団のピックアップ・メンバー、レイ・ナンス(cor. vln)、ローレンス・ブラウン(tb)、ジョニー・ホッジス(as)、ハリー・カーネイ(bs)、エリントン(p)、アーロン・ベル(b)、サム・ウッドヤード(ds)、ホーキンス(ts)が入った八重奏団の演奏であるが、ある意味でエリントン初期の楽団の編成に近く、非常にリラックスしたエリントン・ムードの中に入ってホーキンスは彼のペースで堂々と発言、それが渾然たる効果を創り出している。演奏曲目は八曲すべてエリントンの曲で、うち四曲が新曲である。新曲のうち「リンボ・ジャズ」「レイ・チャールズ・プレイス」はポピュラーな匂いがするが、デュークとストレイホーンが共作してホークに贈った「セルフ・ポートレイト」(ホークのため)におけるホークのソロは「ムード・インディゴ」のそれとともにこのLPの圧巻である。ほかにエリントンの旧作「ワンダラスト」「ジープ・イズ・ジャンピン」など、ホッジス、ナンス、カーネイらのソロも適度にフィーチャーされていてたのしい。 (『レコード藝術』63年8月号)
「ポピュラーな匂い」がしたっていいじゃないか。エリントニアンの中、ポールでないまともな(失礼)テナーが新鮮。
メンバーにホッジスとローレンス・ブラウンがいるのが興味深い。
60年代のエリントン・コレクティヴは、体制側と反体制派との対立が常に淡く漂っており、そのせいでエリントン・サウンドは弛緩すること無く音楽的に緊張感を保ちつづけることができた、というのが管理人の仮定だ。その線でいくと、ホッジスとブラウンの参加はエリントンの懐柔策の一環と考えられる。付き合いが長く、信頼できたせいもあると思うが、エリントンはこの2人を積極的にフィーチャー、または自由行動を許すようになる。
61年の『First Time!』からの一連の流れで考えたい1枚。
ちなみに、ホーキンス以下の8枚は約半年間に録音。しかも最後の4枚は1ヶ月間に録音。このとき、エリントン63歳。「絶倫」としかいいようがない。
First Time! The Count Meets...
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