Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

テキトーな『First Time!』紹介文。(野口久光氏)

エントリのタイトルとおりなのだけど・・・。

 

First Time: Count Meets the Duke

First Time: Count Meets the Duke

 

 

カウント・ミーツ・デューク
 カウント・ベイシー楽団、デューク・エリントン楽団 (Columbia)
 名実ともに横綱格の二大ビッグハンドを一堂に会して競演させようというステレオならではの企画、恐らく舞台でも実現したことのないこの企画の実現という一点に興味の絞られるLPである。そしてこの試みは単に顔合わせの興味だけでなく演奏にもすぐれたまとまりがあり、充分たのしめる。「公爵(デューク)」楽団も「伯爵(カウント)」楽団も共に好敵手を相手に、意外なくらい寛いだムードでなごやかな競演をしているし、十指に余るスター・プレイヤーがまた気の入ったソロを競っているのである。デュークが最近映画「パリの哀愁」のために書いた「バトル・口イヤル」「ワイルド・マン」を中心に、「A列車で行こう」と「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」、デューク=ストレイホーンの「BDB」、サド・ジョーンズの「トゥ・ユー」、フランク・ウェスの「セグエ・イン・C」と八曲が演奏されるが、両楽団のメンバーのリラックスしたたのしいセッション・ムードが手にとるように伝わってくる。ふたつの楽団のスタイル、トーン、カラーは別々にきくとかなり違うのだが、こうして一緒にやって少しもチグハグなところがないのは、デューク、カウントはもとよりそのメンバーのすべてがすぐれた音楽家である証拠である。大抵この種のLPは企画倒れになりやすいのだが、何とすばらしいスウィングを醸し出しているのだろう。私は期待していなかっただけにきいてすっかりうれしくなった。ファンキーなモダン・ジャズもいいが、たまにはこういうLPでいい気持ちになるのもジャズ・ファンならではのよろこびといえよう。推薦。          (『レコード藝術』62年8月号)

 

録音は61年7月6日。

この作品については、小西康陽のエッセイをからめてしつこく書いたので、今のところ特に書くことないです。

 

それにしても野口先生、「ふたつの楽団のスタイル、トーン、カラーは別々にきくとかなり違うのだが、こうして一緒にやって少しもチグハグなところがないのは、デューク、カウントはもとよりそのメンバーのすべてがすぐれた音楽家である証拠である」って、本気ですか? 管理人は、よくこの作品をヘッドホンで聴くのだが、右と左のあまりの違いに笑い出してしまうのですが。。。

 

「バラバラにならずに一つの作品として聴ける」程度の意味だったら、それは本作プロデューサーのテオ・マセロの力量(というかバランス感覚)に寄るところがおおきいのではないでしょうか。

 

野口久光氏の紹介文、いつもは首を傾げるところがあってもスルーするのだが、この作品についてはスルーできなかった。ちょっとテキトーすぎやしませんか?

 

引用元はいつものこの本。

 

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野口久光ベストジャズ(1)

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