Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

『ニューポート・ジャズ祭のエリントン(56年)』 (野口久光)

野口久光氏による、エリントン・ディスク紹介文。今回は『At Newport '56』。

いちいち紹介する必要もないかもしれないけど、これのことですよ。 

 

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当時はどのような形でリリースされ、紹介されたのか。

コンプリート・アット・ニューポート1956+10

コンプリート・アット・ニューポート1956+10

 

 

 

ニューポート・ジャズ祭のエリントン

     デューク・エリントン楽団(Columbia)
 すでにLP3枚にわたって出された昨年の二ユーポート・ジャズ・フェスティヴァルの会場録音の最後の一枚で、エリントン楽団の健在を示す好個の近作である。A面は「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル組曲」と題し3つの章から成る大作で、エリントン、ストレイホーンの合作曲で、この楽団の実力を誇示している。第一楽章のジャンプ・ブルース形式の「フェスティヴァル・ジャンクション(Festival Junction)」にはジミー・ハミルトン(cl)のラプソディックな長い序奏があり、これに続いてデューク(p)、ウィリー・クック(tp)、ポール・ゴンザルヴェス(ts)、ブリット・ウッドマン(tb)、ハリー・力ーネイ(bs)、クェンティン・ジャクソン(tb)、ラッセル・プロコープ(as)、キャット・アンダーソン(tp)の各ソロが2コーラスずつ華やかに展開するが、アンダーソンのトリッキーかつユーモラスなコーダをもって章を結んでいる。第二楽章「ブルース・トゥービー・ゼア(Blues To Be There)」は典型的なブルース形式に添った小曲で、デュークの提示するテーマに対して、プロコープがハートフルなクラリネット・ソロを以て応え、次いでレイ・ナンスのミュート・トランペットのソロが、始めデリケートにそして次第に熱を帯びて、再びソフトなムードにかえり、デュークのピアノと溶け合い、これをアンサンブルが受けて優美なクライマックスをつくる。第三楽章「ニューポート・アップ」は快速ジャンプ・リズム、ハミルトン(cl)、クラーク・テリー(tp)、ゴンザルヴェス(ts)の三者がソロイストとしてダイナミックに主題を盛り上げ、ラストにはテナー・サックスと合奏がややモダンなフィギュアのエンディングに飛び込んでいく。作品としての内容よりスター奏者を生かしたフェスティヴァル向きの大作、充分ききごたえはある。
 B面はエリントンとホッジスの合作曲、久し振りにエリントン傘下にかえったジョニー・ホッジス(as)がオーケストラをバックに生彩あるソロを堪能させてくれる。最後の曲「ディミヌエンド・アンド・クレシェンド・イン・ブルー(Diminuendo and Crescendo in Blue)」は、エリントンの旧作二曲を一曲に合わせたもので、デューク(p)のソロによる主題が次第にオーケストラに盛り上げられた後、ゴンザルヴェスのテナー・サックス・ソロに入る。このソロが実に27コーラスにわたる長いもので、シミー・ウッズ(b)、サム・ウッドヤード(ds)の鉄壁のリズムは単調とはいえ、次第に熱して、七千五百名の聴衆は酔わされ場内は騒然となっていく。ラストにデュークとカーネイ(bs)のソロを加えいよいよ会場は昂奮と陶酔のるつぼと化すうちに曲は最高潮に達して、アンダーソンのトランペット・ハイ・ノートとともに幕を閉じる。歓声またしばし止まず……といった演奏会場録音の長所を最大限に発揮している。なお、はじめのボストン大学のファーザー・ノーマン・J・オコンネルの司会の言葉に次いで、デューク自身の曲目紹介の言葉がそのまま録音されている。エリントンのLPは数も多く、傑作も少なくないが、これは1956年のエリントンとして後世に残るLPのひとつとなろう。録音もわるくない。
                (『レコード藝術』57年6月号)

 

出典はいつものこれ。

 

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野口久光ベストジャズ(1)

野口久光ベストジャズ(1)

 

 

この伝説のライブ盤、当時は3曲しか収録されていなかった。

この3曲だけでも十分おいしいところはおさえてるけど、「Tea for Two」と、「Diminuendo ~」後の「I Got It Bad」も続けて聴きたい。

 

このライブ盤については、本館でも言及している。

 

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