Kinda Dukish (かいんだ・でゅ~きっしゅ)

「デューク・エリントンの世界」別館。エリントンに関することしか書いてません。

『Money Jungle』の中山康樹評。

 故・中山康樹氏による『マネー・ジャングル』評を引いておく。

 

読んでから聴け!ジャズ100名盤 (朝日新書 85)

読んでから聴け!ジャズ100名盤 (朝日新書 85)

 

『Money Jungle』は62年の録音。

 

マネー・ジャングル+8(紙)

マネー・ジャングル+8(紙)

 

 

最近では、「エリントンを聴くならまずはこれ」といった感じで、コルトレーンとのアレと並んで紹介されることの多い作品。 

  

コルトレーンのアレ)

ELLINGTON & COLTRANE + 4 BONUS TRACKS

ELLINGTON & COLTRANE + 4 BONUS TRACKS

 

 

コルトレーンのアレについて)

sites.google.com

 

中山康樹の紹介も、まさにこの線に沿って行われている。

 

エリントン攻略は「青年たちよ、大志を抱けセッション」から

 

 一般社会において「まさかこんなヒトだったとは」という表現はネガティヴな意味をもっているが、ジャズの世界では必ずしもそうではなく、むしろ賞賛の言葉として用いられることが多い。そしてジャズという音楽は1人当たりのアルバム総数が多く、ミュージシャンによっては、聴くほどに「まさかこんなヒトだったとは」と口走る機会が増えることがままある。したがってジャズとは、無目的に聴取範囲を広げる必要はなく、1人のミュージシャンを聴きつぶすことに生涯を費やすことも不可能ではない。その代表格がマイルス・デイヴィスとエリントンとするのは、決して暴論ではない。とくにエリントンは、マイルスほど近しい存在でないだけに“まさか度”も高く、その“まさか”を知ることがエリントンを聴くことといっても過言でない。とはいえ、オーケストラでは、その“まさか”ががみえにくい。そこでピアニストとしてのエリントンから攻略するとしよう。


 エリントンのピアノをフィーチャーしたアルバムも相当数に達するが、まずはこれを聴かなければ先に進めないという定盤が『マネー・ジャングル』(と次掲『デューク・エリントンジョン・コルトレーン』)。共演がチャールズ・ミンガスマックス・ローチという屈強なガチンコ・コンビ、さしものエリントンも押されているのではないかとの予想は見事に裏切られ、もっとも過激に攻め立てているのは誰あろうエリントンという“まさか”の展開。ちなみにこのアルバムとコルトレーンとの共演盤の録音はわずか9日ちがい、したがって巨匠によるモダン・ジャズ道場破りとも“青年たちよ、大志を抱けセッション”ともとれる。なお機会があれば『ピアノ・イン・ザ・フォアグラウンド』61年)もぜひ。あの《サマータイム》がヒーヒーと悲鳴を上げ、ついには名曲にあるまじき醜態をさらけ出すまでサディスティックな攻撃を加えられる。エリントンはほんとうに怖い。
(74-75頁)

 

文中に紹介されている作品はこれ。トリオの演奏です。

PIANO IN THE FOREGROUND + 9 BONUS TRACKS

PIANO IN THE FOREGROUND + 9 BONUS TRACKS

 

 

これと対になってるのがオーケストラのこれ。

Piano in the Background

Piano in the Background

 

 ピアノをたくさん聴けるのはもちろん前者の『Foreground』で、中山氏が書いているようにエリントンによるスタンダードの料理法も楽しむことはできるんだけど、『Background』のピアノも聴きどころがたくさんあります。

まさにこの2枚は対で楽しむべき作品。

この2枚については、いずれまた。 

 

 

 【リンク元

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